溶接パイプの展開計算

溶接板巻きパイプの展開計算をどのようにしているかお問い合わせをたくさんいただいておりますのでお答えいたします。


よく径(外径または内径)に円周率3.14をかけた数字を展開寸法とされている図面がありますが、これは良くありません。
この計算で出た展開寸法値は円筒の断面PCDとなってしまいます。
板厚が考慮されていないためです。
板厚を考慮した上で、径から展開寸法を計算しなくてはなりません。
・外径指示の場合、(径-板厚)x円周率
・内径指示の場合、(径+板厚)x円周率

たとえば、外径Φ100、板厚0.5tの展開寸法は
(100-0.5)x3.1416=312.59
これが、内径Φ100、板厚0.5tの場合、
(100+0.5)x3.1416=315.73
となります。
円周率を3.14ではなく3.1416で計算しているのは、より正確な展開寸法を算出するためです。
上記の計算を3.14で行った場合
外径=(Φ100-0.5t)x3.14=312.43
内径=(Φ100+0.5t)x3.14=315.57
外径で論じますと、0.16もの寸法差になります。
これでは、外径公差±0.05であれば、不合格になります。
板厚ですがJIS規格では厚みに対しても板厚10%程度(板厚・母材サイズで異なりますので確認が必要です)の公差があります。板厚測定して確認して計算するようにしております。
以上が弊社で取り決めている展開周長計算式です。
この計算式で算出した数値で切断をシャーリング、エッチング、レーザ切断と使い分けしております。
内製加工で一番多い作業であるシャーリングは刃面管理など大変奥が深く、こだわりを持って行っております。
この話は後日。