TIG溶接との違い
一般的に使われる直流TIG溶接は箔(薄物)溶接に必要な低電流域(10A程度以下)では図1のように電流電圧曲線のアーク電圧の上昇部と溶接機の垂下特性曲線とが重複するようになり、結果として溶接アークの移行性不良から良好な溶接が出来ない欠点があります。
マイクロプラズマ溶接の原理は水冷ノズル内で発生させた低電流(3A程度)のアーク(非移行型プラズマアーク)をノズル先端の細穴を通し熱ピンチ効果によりさらに細くなったアーク柱を発生させます。(図2)
そのアーク柱を細いままで溶接ワークに届かせるためシールドガスに少量のH(水素)を加え、その乖離熱でアーク柱表面に冷却ピンチ効果を持続させる方法です。(※1)
この方法で得られるアーク柱は非常に低電流でも発生可能で、0.1Aといった極小電流でも、安定したアークが得られます。また、突合せ、重合せ溶接などの施工でTIG溶接と比べ、高入熱特性により低い電流での作業が可能ですので歪みを軽減する効果もあります。
マイクロプラズマ溶接の施工領域は50A以内となります。
※1 チタン溶接の場合はチタンが活性化金属ですので、Hを添加しないシールドガスを使用します。